明治蜜恋ロマン～御曹司は初心な新妻を溺愛する～

「はい。紡績業は、諸外国との輸出入の額も増大する一方ですので、国にとっても大切な産業です。その産業をけん引する津田紡績は、政府も注目する大切な会社なのですよ」


津田紡績の活躍ぶりはよく耳にしていたものの、国という規模まで行ってしまうのが驚きだ。


「素晴らしいご活躍ですね」

「えぇ。特に行基さんが会社で仕事を始められてから、生産性だけでなく品質を高める努力も真摯に取り組んでこられたので、外国での日本の製品の評価が非常に高くなっているんです。行基さんはその手腕を政府要人からも認められています」


津田紡績はこの周辺だけでなく、日本を代表する会社なんだ。

私はそこで中心となって活躍する人の妻になっただなんて、ピンとこない。

しかし、そこまで上り詰めた人ですら、爵位がないというだけでバカにされることがあるなんて信じられない。


「行基さんがそんなにすごい方だなんて、なんだか私、気後れします」