明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「すみません。妻はまだこうした場に不慣れでして。ダンスも決してうまくはございません。辻さまのようにお上手な方の足手まといになってしまいます」
行基さんは初めての私を慮ってそう言ってくれたのだと思う。
それなのに、辻さまは引かない。
「そうでしたか。まさか津田紡績ほどの大きな会社の次期社長の奥さまが、社交ダンスがまともに踊れないなんて。やはり、成金はそれなりの妻しか娶れないのですね。あっははは」
なんなの、この人。
行基さんのことをこれほどまでに蔑むとは、はらわたが煮えくり返りそうだ。
そういえば一ノ瀬さんが、『嫌味な人間がいる』と言っていたけど、辻さまのような人のことなのね。
「いえ。私の妻は『それなり』ではございません。私にはもったいないほどの女性です」
ひるむことなく行基さんが庇ってくれるので、胸が疼く。
「ほー。でも社交ダンスもまともに踊れないとは——」
行基さんは初めての私を慮ってそう言ってくれたのだと思う。
それなのに、辻さまは引かない。
「そうでしたか。まさか津田紡績ほどの大きな会社の次期社長の奥さまが、社交ダンスがまともに踊れないなんて。やはり、成金はそれなりの妻しか娶れないのですね。あっははは」
なんなの、この人。
行基さんのことをこれほどまでに蔑むとは、はらわたが煮えくり返りそうだ。
そういえば一ノ瀬さんが、『嫌味な人間がいる』と言っていたけど、辻さまのような人のことなのね。
「いえ。私の妻は『それなり』ではございません。私にはもったいないほどの女性です」
ひるむことなく行基さんが庇ってくれるので、胸が疼く。
「ほー。でも社交ダンスもまともに踊れないとは——」