明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
藤原さんに指摘されたことが気になり、行基さんに頭を下げる。


「十分だったぞ。いや、うまくて驚いたくらいだ。相当練習したんだろう? あや、お前はどこまでも素晴らしい女だ。完璧だった」


行基さんがまた褒めてくれるので、ホッとした。


「とんでもありません。はねっ返りであることを知られないようにと必死だっただけで……」


私が正直に言うと、彼はふっと噴き出している。


「いや。今日のためにこれほどまでに準備を重ねていてくれたとは。はねっ返りだけではない。気配りもその努力も一流だ。今日はずっと驚きっぱなしだったよ」


藤原さんに冷たい言葉を浴びせられたばかりなので、彼の賞賛は胸に響く。


「あれっ、はねっ返りは否定してくださらないんですか?」


照れ隠しのために口を尖らせると「それは無理な相談だ」と声を上げて笑われてしまった。


「だが、辻に触れさせたのは気にくわない」
「えっ……」
「お前は私の妻だ」
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