明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
行基さんが思いがけないことを口にするので、目が点になる。

もしかして、嫉妬というものをしてくれているの? 
そうだとしたら……感激だ。


「……はい」
「疲れただろう。帰って休もう」


彼は顔をほころばせ、私にスッと手を出した。

最初は重ねることすら照れくさくてたまらなかったが、今はこうして手を差し伸べてもらえるのがうれしくてたまらない。


湯を浴びたあと彼の部屋に行き、一緒にお茶を飲んだところまでは覚えている。

だけどそのあとは、今日まで頭も体もすり減るまで使いすぎたからか睡魔が襲ってきて、いつの間にか眠ってしまった。



翌朝目覚めると、布団で眠っていたので驚いた。


「あや、起きたのか?」
「はっ、すみません。旦那さまよりあとに起きるなんて」


慌てて起き上がると、隣で横たわっていた行基さんが私の腕を引いて布団に戻す。


「いいから、気にするな。疲れ果てたんだろう?」
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