明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
まさかすべて筒抜けになっていたとは。

私は起き上がり正座をしたあと、彼に頭を下げる。


「今まで隠していて申し訳ありません」

「あやは謝りすぎだよ。お前が悪いことなどひとつもないだろ? 実母の身の上もあやのせいではないし、お前が一橋家の血を引いているのは本当だ。俺は嘘をつかれたわけでもない」


たしかに嘘はついていないが、言ってないことはたくさんあった。

しかし、上半身を起こした行基さんは穏やかな表情をしているので、怒っているわけではなさそうだ。


「はい。ですが、一橋の母に自由は奪われておりません。初子さんよりずっと自由でしたし、女中として働くのは楽しくて。きっと生まれたときからそういう性分だったのだと思います」


正直な胸の内を口にすると、行基さんは「本当にお前は……」と呆れ気味だ。


「あっ、またおかしなことを言ったでしょうか? すみませ——」
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