明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
うれしさのあまり、すさまじい勢いで立ち上がってしまい、彼にまた大笑いされてしまった。



朝食のあと、珍しく着流し姿の行基さんは、私を伴い街の中心街へと向かった。

洋服姿はもちろん凛々しく、毎朝見るたびに胸をときめかせているが、着物姿も様になっていて一層男らしさを感じる。


一橋家は隣町の商店を利用するので、ここに来たのは初めてだ。

東西南北を走る道沿いに商店がずらっと並ぶそこは、よく通った商店街より活気があり、様々なものが売られている。


「欲しい物があればなんでも言って。買ってやるぞ」
「欲しい物なんてありません。津田家にはなんでもあるんですもの」


生活にまったく困ることはない。


「あやとは普通の会話が成り立たないな」
「えっ、なんとお答えすればよかったのですか?」


背の高い彼を見上げて問うと、不意に手を握られ驚きのあまり目を白黒させる。


「『これが欲しい。あれも欲しい。あっ、やっぱりこっちも』かな」
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