明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「お前は物欲というものがなさそうだから、本屋にでも行こう。履物は俺が勝手にそろえておく」
「ですから、いりませんって!」
慌てて首を振っても彼はクスッと笑みを漏らすだけ。
津田家にあるものを見ていると『そろえておく』が、一、二足ではないような気がするから恐ろしい。
でも、本屋はうれしい。
おねだりしてもいいだろうか。
「そういえば、信明に舞踊の先生を探しておけと言ってあるから、そのうち家に来てもらおう」
「えっ……。舞踊は、もう……」
あれは私が母を神聖化しすぎたゆえの勘違いだったのだし。
「芸妓の中には春を売っていた者もいる。だけど、あやの母上がそうだったとは限らないだろう? 一橋の父上にお聞きすれば真相はわかるのかもしれないが、そんな無粋なことはしなくていい。どうせもう会えないのだから、あやは自分の思い描く母の姿を心の中で大切にすればいい」
「行基さん……。ありがとうございます」
「ですから、いりませんって!」
慌てて首を振っても彼はクスッと笑みを漏らすだけ。
津田家にあるものを見ていると『そろえておく』が、一、二足ではないような気がするから恐ろしい。
でも、本屋はうれしい。
おねだりしてもいいだろうか。
「そういえば、信明に舞踊の先生を探しておけと言ってあるから、そのうち家に来てもらおう」
「えっ……。舞踊は、もう……」
あれは私が母を神聖化しすぎたゆえの勘違いだったのだし。
「芸妓の中には春を売っていた者もいる。だけど、あやの母上がそうだったとは限らないだろう? 一橋の父上にお聞きすれば真相はわかるのかもしれないが、そんな無粋なことはしなくていい。どうせもう会えないのだから、あやは自分の思い描く母の姿を心の中で大切にすればいい」
「行基さん……。ありがとうございます」