明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
まだ途中だけれど、ふたりの純粋な恋に心を奪われている。


「本の選択は信明に任せたんだが……アイツが読んでいるとは思えない。さては本屋で、女の好むものをと求めたな?」
「そうかもしれませんね」


一ノ瀬さんはそういうところはぬかりない。

行基さんの片腕として秘書という重要な位置にいる彼は、すこぶる頭の回転が速い人だ。


「それで、あやもそんな情熱的な恋を望んでいるの?」


冷静にそう問われても、『はい』とは言えない。

私はもう行基さんに心奪われてしまっている。

けれども、彼のほうがそうではないのなら、小説のような『情熱的な恋』は難しい。
互いを強く求めあわなければ、成立しないからだ。


なにも答えられないでいると、「あや」と彼は私の耳元で名を呼ぶ。

その声が艶っぽくて、一気に体温が上昇してしまう。


「俺はお前としたいよ。情熱的な恋を」
「えっ?」


今なんと言ったの?

聞き間違えかと思い少し顔をうしろに向けると、彼は熱を孕んだ視線を送ってくる。
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