明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「あやは、嫌か?」


本気、なの? 想い人がいるんじゃないの?

だってあなたは、『きみを愛せないかもしれない』と私に覚悟を迫ったのよ?


「嫌なわけ……」


嫌なわけがない。
嫁いだときから、いや、初めて出会ったあの日から、私はあなたに恋をしているんだもの。


「それなら、俺としよう。情熱的な恋、を」


彼はそうつぶやき、ゆっくりと近づいてきて唇を重ねた。

柔らかくて温かくて……そして甘い口づけのせいで、頭が真っ白になる。


しばらくして離れていった彼は、呆気に取られている私の目を凝視して、「あや」ともう一度名前を口にした。

『はい』と返事をしたいのに、思考が固まりなにも言葉が出てこない。

私……行基さんと接吻をしたの?

『情熱的な恋』と彼は口にした。
それは、私を好いてくれているということ?


「愛している」


切なげな声でそう吐き出した行基さんは、私を強く抱きしめ、再び唇をつなげる。
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