明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「まさか……」
世界を広げてもらったのは私のほうなのに。
「それほど不安になるなんて。なにか、あったんですか?」
そう問われ、章子さんと藤原さんの顔が浮かぶ。
「いえ。行基さんがあまりにご立派なので、私のような人間が妻では力不足ではないかと思ってしまって」
「行基さんのことは、俺も尊敬しています。彼は幼少の頃からいつか会社を背負うという覚悟がしっかりとしていた。そのために経済や商業を学ぶ一方で、現場を知りたいと学生のうちに工場で働くなんてこともしていました。将来の社長がですよ?」
一ノ瀬さんはクスッと笑みを漏らすが私は仰天していた。
まさか、自ら工場で汗水垂らしていたとは。
これが行基さんなりの“足が地につく生き方”なのかもしれない。
津田紡績の発展だけを考え、そのための努力ならなんでもする。
そんなぶれることのない考えが、今の成功を導いているのだろう。
世界を広げてもらったのは私のほうなのに。
「それほど不安になるなんて。なにか、あったんですか?」
そう問われ、章子さんと藤原さんの顔が浮かぶ。
「いえ。行基さんがあまりにご立派なので、私のような人間が妻では力不足ではないかと思ってしまって」
「行基さんのことは、俺も尊敬しています。彼は幼少の頃からいつか会社を背負うという覚悟がしっかりとしていた。そのために経済や商業を学ぶ一方で、現場を知りたいと学生のうちに工場で働くなんてこともしていました。将来の社長がですよ?」
一ノ瀬さんはクスッと笑みを漏らすが私は仰天していた。
まさか、自ら工場で汗水垂らしていたとは。
これが行基さんなりの“足が地につく生き方”なのかもしれない。
津田紡績の発展だけを考え、そのための努力ならなんでもする。
そんなぶれることのない考えが、今の成功を導いているのだろう。