明治蜜恋ロマン～御曹司は初心な新妻を溺愛する～

でも、そんな考えは甘かったのかもしれない。


「本当にどうしたんですか？　顔色が悪いですよ？」

「もし、私のせいで行基さんのお立場が悪くなるようなことがあれば……。彼の今までの努力が水の泡になってしまう」

「どうして立場が悪くなるんです？　なにがあったんですか？」


怖い。私はただ、行基さんのことが好きで、そばにいたくて、愛されたくて……。

以前、藤原さんに冷たい言葉を浴びせられたときは、行基さんが私を肯定してくれたので、心が落ち着いた。

だけど今は、離縁まで迫る藤原さんの発言が衝撃すぎて気持ちが整わない。

自分の存在がそれほどまでに疎ましいものだとは思っていなかったからだ。


「あやさん、お話しください。俺に話せないのなら、行基さんに直接。今日は早く帰宅してもらえるように努力しますから」

「いえ、お仕事に支障が出ては困ります」


私は首を振ったが、一ノ瀬さんは困った顔をする。