明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
他にも……初子さんにはどんどん新しい着物が与えられたが、私は初子さんの着古しばかり。

次女なのだから仕方がないと思っていたが、おそらくそれが理由ではなかったのだろう。


「ううん。これはあやの。私、意地悪したわ。この前は私が食べたんだもの、今回はあや。あやは私の妹なんだから。いい? あなたと私の関係は変わらないのよ」


初子さんと私は、こうしてつまらないことで喧嘩をするとはいえ、とても仲のいい姉妹だ。

常に一緒に行動して、同じ遊びをし、大切なものは分けあってきた。

だからだろうか。初子さんのほうが動揺して、焦点が定まっていないように見える。

母には冷たくあしらわれてきたけれど、私はこの家にいられて幸せなんだ。
初子さんのように優しい姉がいるのだから。

私は自分にそう言い聞かせた。


「初子さんありがとう。お団子はいただくわ。でも私、明日からまつと一緒に働きます」
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