明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「せっかく作ったんだから、最後まで責任を持て」
「責任って……」
「なぁ、いいだろ?」


彼は時々こうして甘えてくるので困ってしまう。
でも、しばらく元気になれず心配をかけてしまったこともあり、私は素直に従った。

パリッと割り、しょうゆ味のそれを口の前に差し出すと、「うまいじゃないか」とひと口食べてくれる。


「だって、味付けは餅屋さんですもの」
「それもそうか」


そう言った彼は、突然私の手を握り残った欠片をパクパクと口に運んだあと、最後に私の指までペロリと舐める。


「ゆ、行基さん!?」
「お前とこうして戯れるのが楽しくて止まらない。早く飯を食って風呂にしよう」


彼の発言に目を白黒させるけれど、私が元気を取り戻したのをそれほどまでに喜んでもらえているのだと思えば心も弾む。


宣言通りお風呂でたっぷりと愛されてしまい、行基さんは少しのぼせ気味の私を布団に寝かせて肩を震わせている。
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