明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「あやは、俺のものだ」


彼は私の体をはさむように覆い被さり、うっとりしたような目で私を射る。


「そう、です」


私だって『あなたは私のものです』と言いたいのに、どうしても言えない。


「お前は煽るのがうまい。たっぷり愛してやる」
「えっ、また?」


だってさっき、お風呂で激しく……。


「全然足りない。それに……早くお前との子が欲しくなったんだ」


私との、子?

なんてうれしい言葉なんだろう。
『愛してる』と囁かれるのと同じくらい、私の気持ちは高ぶっていく。


「一生愛して愛し抜く。覚悟しろ」


強い愛の言葉を聞き、感極まってしまい視界がにじんでくる。


「愛して、ください。行基さん、もっと愛し——」


たちまち降ってきた唇に阻まれ、それ以上は言えなかった。
< 253 / 332 >

この作品をシェア

pagetop