明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
離縁して? それじゃあ結婚していたの?
行基さんのことを『今でもお慕いしております』と言っていたが……仲を引き裂かれ嫁いだものの、結局は離縁したということだろうか。
行基さんは過去に付き合った女性はいないと言っていたけど……。
「そう、ですか……」
そのとき、行基さんが私の返した腕巻時計をチラリと視界にいれた。
そうだった。今日は重要な仕事があるんだ。
「行基さん、章子さんには私が付き添います。どうかお仕事に……」
私が促すと、彼は苦々しい顔をする。
「でも……」
「なにかあったらすぐに知らせます。さっきの、黒……」
「黒岩だ。秘書のうちのひとりで、信明の部下だ」
やはり関係者だったのか。
「はい。黒岩さんもお医者さまを連れて来てくださるでしょうし、大丈夫です」
「うん……」
行基さんはしばらく考え込み、再び口を開く。
「すまない。そうするよ。会社に着いたら一ノ瀬を入れ替わりによこす。それまで頼んだ」
行基さんのことを『今でもお慕いしております』と言っていたが……仲を引き裂かれ嫁いだものの、結局は離縁したということだろうか。
行基さんは過去に付き合った女性はいないと言っていたけど……。
「そう、ですか……」
そのとき、行基さんが私の返した腕巻時計をチラリと視界にいれた。
そうだった。今日は重要な仕事があるんだ。
「行基さん、章子さんには私が付き添います。どうかお仕事に……」
私が促すと、彼は苦々しい顔をする。
「でも……」
「なにかあったらすぐに知らせます。さっきの、黒……」
「黒岩だ。秘書のうちのひとりで、信明の部下だ」
やはり関係者だったのか。
「はい。黒岩さんもお医者さまを連れて来てくださるでしょうし、大丈夫です」
「うん……」
行基さんはしばらく考え込み、再び口を開く。
「すまない。そうするよ。会社に着いたら一ノ瀬を入れ替わりによこす。それまで頼んだ」