明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「うっ……」


口に手を持っていくと、角田さんが私を抱き上げて二階に連れていってくれる。


「医者を呼ぶから、少しだけ我慢して」
「大丈夫です」
「ダメだよ。よくない場所を打ったかもしれないからね」


彼はそう言うと、バタバタと部屋を出ていく。

しばらくすると、天井が回るのは収まってきた。
それとともに吐き気もなくなりホッとした。

こんなことは初めてだ。
疲れがたまっていたのだろうか。

お客さんがいたのに申し訳ないと思いつつしばらく布団にくるまっていると、お医者さまが診察してくれた。

どうやら店を閉めたらしい角田さんは、隣の部屋で待機している。


「月のものは来ているかな?」


お医者さまの問いかけに、ハッとする。
そういえば……予定ならもうとっくに来ていてもいいはずだ。


「いえ……」
「やはりそうですか。旦那さん、こちらへ」


お医者さまは角田さんを旦那さまだと勘違いして呼んでしまった。

すると少し驚いたような顔をして角田さんがふすまを開ける。
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