明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
どうして彼の名前が今出るの?


「あぁ。暴漢に襲われてから、俺がついていてやれない間はあやを家に閉じ込めておこうかと考えた。でも、お前は鳥だ。空を飛び回り、たくさんの刺激を受けて好奇心を満たしてこそ輝く。だから一ノ瀬と相談して、秘書見習いをしていた黒岩を監視役につけていた」


それで何度も見かけたんだ……。


「でもあやは行動が素早く、買い物に出たはずなのに、興味のあることを見つけるとすぐにどこかに消えてしまう。少しも目が離せなくて、秘書の仕事のほうがずっと楽だと黒岩は苦笑していたよ」


まさか、全部見られていたなんて。


「すみません」
「いや、それでも閉じ込めておきたくはなかった。お前が目を輝かせているのが好きだからね。まあ、ヒヤヒヤはしたけど」


彼は目を細め、微笑んだ。

そこまで理解してもらえていたとは。私はなんて素敵な旦那さまと結婚できたのだろう。
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