明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「そう。幼い頃に弟を病で亡くしていて、津田家の大切なひとり息子なんですって」
おそらく諸手を挙げて賛成するような話だ。
でも、目を赤く腫らしている初子さんがこの縁談をよしとしていないことは一目瞭然だった。
「私ね、この家に生まれたからには、いつかこういう日が来るとわかっていたの。でも、公平さんに出会って——」
次第に声がかすれてくる初子さんは、ポロポロと大粒の涙を流し始めた。
その先は聞かずともわかった。
やはり初子さんは周防さんに心奪われていたのだ。
「私はどうしたらいい? 初子さんをどうしたら助けられる?」
私は必死だった。
一橋家の娘として認められた初子さんなら、父や母側について私を疎んじてもよかったのに、いつも気にかけ仲良くしてくれた。
母が『穢らわしい』とことあるごとに私に折檻しても、初子さんは慰めてくれた。
そんな彼女のためになにかできないだろうか。
とはいえ……さすがに入れ替わるということはできない。
おそらく諸手を挙げて賛成するような話だ。
でも、目を赤く腫らしている初子さんがこの縁談をよしとしていないことは一目瞭然だった。
「私ね、この家に生まれたからには、いつかこういう日が来るとわかっていたの。でも、公平さんに出会って——」
次第に声がかすれてくる初子さんは、ポロポロと大粒の涙を流し始めた。
その先は聞かずともわかった。
やはり初子さんは周防さんに心奪われていたのだ。
「私はどうしたらいい? 初子さんをどうしたら助けられる?」
私は必死だった。
一橋家の娘として認められた初子さんなら、父や母側について私を疎んじてもよかったのに、いつも気にかけ仲良くしてくれた。
母が『穢らわしい』とことあるごとに私に折檻しても、初子さんは慰めてくれた。
そんな彼女のためになにかできないだろうか。
とはいえ……さすがに入れ替わるということはできない。