明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「津田さま。初子さんをどうかお許しください。津田さまとの縁談が持ち上がる前から、ふたりは恋に落ちておりました。一度はあきらめ苦しみ——」
正座をして頭を下げながら口を開く。
「あや。なにを言っている。お前は出ていけ!」
父に怒鳴られたが、引くわけにはいかない。
「初子さんなりに、津田家にご迷惑がかかることを悩んでいました。そして、心を注げないなんて、行基さまにも失礼だと」
「あや!」
ついに父が私のところに駆け寄ってきて着物をつかみ、血走った目でにらみつけてくる。
「お前はなんと失礼なことを。このバカ者が!」
殴られる。
そう覚悟して目を閉じたものの、着物から手が離れた。
そっと目を開くと、行基さんが父の手を止めていたので、ハッとする。
「初子さんは私のことまで気にかけてくれるような、お優しい人だったんですね。ふたりの間を引き裂いたのは私のほうです」
行基さんの発言に、客間に静寂が訪れた。
正座をして頭を下げながら口を開く。
「あや。なにを言っている。お前は出ていけ!」
父に怒鳴られたが、引くわけにはいかない。
「初子さんなりに、津田家にご迷惑がかかることを悩んでいました。そして、心を注げないなんて、行基さまにも失礼だと」
「あや!」
ついに父が私のところに駆け寄ってきて着物をつかみ、血走った目でにらみつけてくる。
「お前はなんと失礼なことを。このバカ者が!」
殴られる。
そう覚悟して目を閉じたものの、着物から手が離れた。
そっと目を開くと、行基さんが父の手を止めていたので、ハッとする。
「初子さんは私のことまで気にかけてくれるような、お優しい人だったんですね。ふたりの間を引き裂いたのは私のほうです」
行基さんの発言に、客間に静寂が訪れた。