明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
嫌になんてならない。
こんなに気遣ってくれるあなたを、嫌いになんてならない。


「ありがとうございます」


深く頭を下げると、彼は肩をポンと叩いてから部屋を出ていった。



そして、私の輿入れがすんなりと決まった。

祝言の支度といっても、初子さんが使うはずだった物がすべて新品で残っている。

行基さんがそれではつらいだろうからそろえなおそうと申し出てくれたが、私は首を振った。

豪華絢爛の花嫁衣装は女の憧れ。
だけど、隣に立つのが好きな人ならば、の話。

私は想い人の隣に立てるのだから、もうそれで十分だ。


それに、この打掛を着ることで、初子さんの幸せも願いたかった。
せめて空の上で周防さんと祝言をあげてほしい。

そんな気持ちでいっぱいだった。

私は行基さんとの結婚が決まってからも、女中の仕事はやめなかった。

軽快に雑巾がけをしていると、まつが飛んでくる。
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