明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
爵位がないというだけで、交渉のテーブルに着くことが許されず、やっとのことでその段階に進んでも足元を見られ。

なんとか成功をおさめたら、今度は『成金』と罵られ……。

実際、行基さんも心無い言葉を浴びせられているようだし。


ただ、そのために心の動かない結婚を選択するというのも腑に落ちないが、一橋の父が爵位を守りたいと躍起になっているのと同じなんだと思う。

なにかを守るために、他の犠牲などいとわないのだろう。


津田紡績は、従業員を三千人も抱える大きな会社だ。

水力を用いたガラ紡といわれる紡績機から始まったらしいが、最近は街で耳にした通り、莫大な資金を投資して新しい紡績機を輸入するという大胆な行動が大当たりして、大成功を収めている。

これを提案したのは行基さんなんだとか。


それだけではない。

英語ができず輸出の際に安い金額で買いたたかれていることに気づいた行基さんが、通訳を高い金で雇い、交渉を有利に進めたことも有名らしい。
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