明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
その代わり、私には祝言までの間に作法の先生がつけられてしまった。
最低限のたしなみを叩き込もうという母の魂胆だ。
母は、妾の子である私が、津田家に嫁ぐことが気に入らないらしく、最初はツンケンしていた。
行基さんとの縁談が持ち上がったとき『あやは学もないんです』と口を挟んだのはそのせいだ。
初子さんが死に、私が裕福な家に嫁ぐなんて我慢ならなかったんだと思う。
だけど、輿入れが決まってからは、育てた娘——実際は女中として扱われていたのだけれど——が行儀作法をまともに知らないと中傷されることを恐れた。
「あやさま。箸は先端の六分までしか使ってはなりません」
「すみません」
六分って、ご飯をほんの少ししかつかめないじゃない。
実母のことを知る前は、こうしたことも口を酸っぱくして言われてきた。
でも、女中部屋で食べるようになってからは自由に大きな口でパクパクと食べてきた。
最低限のたしなみを叩き込もうという母の魂胆だ。
母は、妾の子である私が、津田家に嫁ぐことが気に入らないらしく、最初はツンケンしていた。
行基さんとの縁談が持ち上がったとき『あやは学もないんです』と口を挟んだのはそのせいだ。
初子さんが死に、私が裕福な家に嫁ぐなんて我慢ならなかったんだと思う。
だけど、輿入れが決まってからは、育てた娘——実際は女中として扱われていたのだけれど——が行儀作法をまともに知らないと中傷されることを恐れた。
「あやさま。箸は先端の六分までしか使ってはなりません」
「すみません」
六分って、ご飯をほんの少ししかつかめないじゃない。
実母のことを知る前は、こうしたことも口を酸っぱくして言われてきた。
でも、女中部屋で食べるようになってからは自由に大きな口でパクパクと食べてきた。