明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
初子さんたちとは違う質素な食事とはいえ、他人の目を気にしなくてもいい食事はとってもおいしかったのに。


「それに、口は小さくしか開けてはいけないと申し上げましたでしょう?」
「……はい」


これでは食べた気がしない。
今さらながらに初子さんの不自由さを感じていた。


作法の先生が毎日訪れるようになると、とうとう女中の仕事もさせてもらえなくなってしまった上に、外に出してもらえなくなった。

二度と津田家に泥を塗ることがあってはならないと、初子さんのときのように他の男性との接触ができないようにしたいのだろう。

そんなに気を張らなくても、私は行基さんとの婚姻がうれしいのだから心配いらないのに。


しかし外に出してもらえないのには、もうひとつ理由がある。

礼儀作法が身に付いていない私を野放しにすると、なにかをしでかすかもしれないと思われているようだった。
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