明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
そしていよいよ祝言の日がやってきた。


鶴の舞う朱色の打掛は華やかでまぶしいほどだ。

憧れの花嫁姿は少々重くて苦しいが、初子さんの分も幸せになろうと決めていた。

正直、一橋家ではつらいことも多かった。
それでも私は、自分の人生をあきらめたことだけはない。

行基さんに嫁ぎ、愛してもらえるように努力する。


「馬子にも衣裳ね。津田さまにくれぐれも失礼のないように努めなさい」


母は最後まで辛辣な言葉を浴びせてくる。


「あや、津田さまにお仕えして、早く子をもうけなさい。いいな?」


父は早く子を作らせ、両家の縁を確固たるものにしたいようだ。


「はい。お父さま、お母さま。今まで私を育ててくださいましてありがとうございました」


いろいろ言いたいことは呑み込んで、作法の先生が教えてくれた通りの言葉を口にして頭を下げたあと、人力車で四十分ほどかかる津田家へと向かった。



初めて目の当たりにした津田家はあまりに大きく、腰が抜けそうだった。
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