明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
行基さんが紹介してくれたその人は、彼と同じくらいの歳に見える。
前髪を上げていて知的な雰囲気が漂っていた。


「一ノ瀬と申します。行基さんとは幼なじみでして、津田紡績で使って頂いております。どうぞよろしくお願いします」

「こちらこそ。よろしくお願いします」


深く頭を下げると「ああっ」と慌てている。


「あや。一ノ瀬は俺の部下だ。他の人とは違う。そんなに丁寧に挨拶をしなくてもいい」


そういうものなのか……。

でも、一橋の父や母が女中に大柄な態度を取るのは、見ていて気持ちのいいものではない。


「ですが、私はわからないことだらけで、きっと一ノ瀬さんにもご迷惑をおかけしてしまいますから」


素直な胸の内を口にすると、一瞬首を傾げた一ノ瀬さんがクスッと笑う。


「行基さん、なかなか素敵な女性を娶られたようですね。お幸せに」


一ノ瀬さんは気になることを言い残して離れていってしまった。


「あの、どういう意味でしょう?」
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