明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
行基さんに尋ねると、彼も口元を緩めている。


「あやは俺の妻なのだから、当然部下の一ノ瀬より地位は上だ。ましてや子爵令嬢なのだしな。一ノ瀬たちは普段は軽くあしらわれて終わりなのに、あやがあんなに丁寧に挨拶をするから好印象だったのではないか」


彼は小声で教えてくれる。


「ですが、お世話になる方に挨拶をするのは当たり前ですもの。やめろと言われてもできません」


しまった。つい思ったことを口にしてしまった。

子爵令嬢として嫁いできたのだから、もっと上品に振る舞わなくてはならなかったのに。

しかも、作法の先生から、祝言の間はできるだけ黙って笑顔でうなずいておきなさいと言われていた。


「お前は少々変わった女のようだ。だが、嫌いではない」


『嫌いではない』と言われ、一瞬にして頬が上気するのを感じる。


それにしても、初めて会ったときも『変わったお嬢さん』と言われたような。
そんなにおかしいのだろうか。
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