明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「私たちしか?」
「そうだ。ここは俺の生活のために作らせた家だ。まあ、いつか妻を迎えたときにということで広めにはしてあるが」


広めどころか、どんなに贅沢に使っても部屋が余る。


「この部屋以外はあやの好きにしても構わない。箪笥の置いてある部屋はもう教えてもらったか?」
「はい、先ほど」


着替えのあと、三十代半ばくらいで細面の女中の貞(さだ)が連れていってくれた。


「あの部屋は日当たりもいいから、そこを主に使うといい。でも、夫婦になったのだから夜はここに来るんだぞ」
「……は、はい」


どうしよう。緊張しすぎて、息が苦しい。


「ふっ……」


私が立ち尽くしていると、彼は突然笑みを漏らす。


「自分の意見をハキハキ口にする女だと思っていたが、借りてきた猫のようだね」
「えっ?」

「まあ仕方ないな。初めての夜だから緊張しているんだろう?」


図星なことを指摘され、なにも答えられない。
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