キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
カララン。

ドアベルの音に振り向くと………

「…………尋ちゃん。」

「尋。」

「えっ?」

3人の驚きなど関係なく………

ズカズカと入って来る。

「どうして!」

凄い剣幕で怒鳴ったかと思うと…………

わぁ~ん!!と泣き出した。

………………………………………………。

「尋ちゃん。」

駆け寄って慰めようとすると

「お姉ちゃんのバカ!!」って……再び怒鳴る。

「尋。」と和也さんが声をかけると

「先生のウソつき!!」って………。

結局、洋介さんがココアを入れて「どうぞ。」と促してくれた。



えっと…………

どこまで和也さんに聞いたっけ??

もう、色々有りすぎてパンク寸前。

怖さも悲しみも、ショックも……………

一度に来ると頭の方が、処理仕切れないみたいで………

泣き虫唯と言えど………涙も出ないみたい。

「尋。
どうやって、ここに来た?
今夜は遅くなるから、樹やはぁちゃんと一緒に居てって言っただろう?
樹は?
アイツの車で来たんだろう?」

「樹先生とはぁちゃんは、車で待機してくれるって。
さっき………あの女が来た。」

「はぁ?!」

「えっ!!」

驚く唯達に

「マンションの下に車を停めて、電話してきた。
『私が分かりますか?あなた方のお母さんから……お父さんを貰った女です。
唯さんでしたっけ?お姉さん。
今、お逢いして来ました。千尋さんにもお逢いしたくて。
ウチの春斗のお姉さん達ですからね。』って………。
樹先生とはぁちゃんを問い詰めたら………ここだって。」

怖い。

単純に…………怖い。

マンションや仕事を知られてるだけでも怖いのに…………

携帯電話までって………。

お父さんやお母さんは大丈夫??

ガタガタ震えが止まらず………

抱きしめた先生の顔が見えなくなる。

「唯!!」

「唯ちゃん!!」

「お姉ちゃん!!…………救急車!!」

そのまま意識を手離した。
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