俺がこんなに好きなのは、お前だけ。


赤くなっている顔を見られたくない。だけど、こればっかりは隠しようがない。



「今日一緒に帰る?」

「えっ、いいのっ?」

「なんで?」

「いや、だって……」



まさか、誘ってくれるとは、思わなかったから。



「いままでも何回も一緒に帰ったろ。ほら、早くしろよ」

「うん……っ」



いや、そうだけど。告白する前と後じゃ、心持ちが違うというか、なんというか……。


慌てて帰り支度を済ませて、大志くんと教室を出る。やっぱり残っていたクラスメイトたちの視線が気になったけれど、大志くんはそんなこと気にしていない様子。


大志くん、なにを考えているんだろう?
私たち、友だちなんだよね?


嬉しいけど。嬉しいのに、モヤモヤしちゃう。


友だちのままがいいって言ったくせに……って、卑屈になっちゃう。


自転車の後ろに跨って、大志くんの背中にしがみついて帰宅した。



***



次の日のホームルームで、私はジャンケンに負けて一番人気のない看板づくりや教室内の飾りつけをする係になってしまった。本当はメニューを考案する係になりたかったのに。一番人気すぎて、運に負けた。


次に人気の衣装係も店員オーバーだったし、ダンスはやりたくなかったので、消去法だった。


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