俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
なぜか私の横に並んだ大志くんを横目で見る。
……自分で言うなし。
「なんだよ……」
「べつに。顔が良くても性格が悪いんじゃね……」
「顔も性格も悪いお前よりかはマシだな」
「はあっ?」
言い返そうとした瞬間、私の両頬を大志くんの両手の指がつまむ。
「ほら、その顔はもっと可愛くねーから」
「ひょっとぉ……!!」
「こっちの顔の方が可愛いんじゃね?」
面白おかしく私の頬を上下左右、乱雑に引っ張りながら笑う彼は悪魔に違いない。
涙目になりながら彼の胸を押して、距離をとる。
そんな私のことはお構いなしにお腹を抱えて笑う悪魔。
近くで見ていた結衣羽のところへ逃げると「イチャつかないで」と言われて「ちゃんと見てた!?」と目を丸くした。
今のどこがイチャイチャしてたの?
私、悪魔にイジメられてたんですけどっ?
そのあと体育館に向かった私たちは、体育の授業を受けた。
前回の授業終わりに予告されていた通りバスケの試合が行われて、そこで活躍している大志くんの姿を私はずっと不機嫌な眼差しで見守った。体育館の隅、膝を抱えて。
クラスの女子たちの目が正反対にハートだったのも、私は納得がいかない。
なんでこんなにモヤモヤしなくちゃならないんだ……。
そして体育の授業が終わって、教室に戻ってきた。制服を再び体操着の上から着て、着席。次の授業の準備をしようと机の引き出しの中に手を入れたときだった。
なにかが手に触れた。