俺がこんなに好きなのは、お前だけ。


ノートと教科書しかしまっていないはずの引き出しの一番上に、弱く折りたたまれた紙があった。


不思議に思いながら広げると私はまた目を見張るメッセージを読んだ。



【佐野大志のこと好きなの?】



また、だ。背筋が凍る。手が、震えた。唇を噛んで、その紙を折りたたんだ。


字と内容を見て、今朝の手紙と同一人物だということは容易にわかる。


どう、して……?
誰がこんなイタズラなんか……。


私に悪意を持った人?
それとも、結衣羽が言うようにストーカー?


正直怖い。怖すぎる。いまももしかしたら監視されているかもしれない。そう思うと、周りにいる人が信じられない。


クラスメイトの仕業?

でもさっきまで同じ体育館にいて、同じ空間で授業を受けていた。


違うクラスの人が犯人ってことも、十分に考えられる。


チャイムが鳴って2時間目の授業が始まった。私の心は相変わらず晴れなかった。


放課後になって結衣羽は用事があるとそそくさと帰ってしまった。
私はそんな親友を取り繕った笑顔で送り出し、準備が整ったかばんを見つめて佇んでいた。


大袈裟かもしれないんだけど、ひとりで帰るのが怖すぎる。


クラスメイトが続々と帰っていくなかで、「ばいばい」と私はただ挨拶を返していく。


暗くなってから帰るほうが余計に怖いよね。そう言い聞かせてからかばんを手に取った。


昇降口に向かって下駄箱までたどり着いたとき、そこでひとり靴を履き替えている大志くんの姿を見つけた。


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