俺がこんなに好きなのは、お前だけ。


かたわらでそれを見ていた大志くん。近寄ると大志くんが歩きだしたので、大人しくついて行く。


駐輪場に行くかと思いきや、真っ直ぐ校門の方に向かって進んで行く大志くんに首をひねる。



「あれ、自転車は?」

「置いてく。電車だろ?」

「いいの?」

「うん」



なんでもないように言った大志くんに「ありがとう」と言うと「気持ちわる」と毒つかれた。せっかく素直にお礼を言ったのに。


ポケットに手を突っ込んで歩く大志くんの目線は、上を向いている。


なにを見ているんだろう?空、かな?



「…………」

「…………」



無言が続く。だけど不思議と居心地は悪くない。むしろいまはこの沈黙が心地いい。


大志くんを真似るように私も上を見た。


雲が私と同じスピードで流れていっているように見える。青色はどこまでも澄んでいて、心が癒されるような気がした。


と、そのときだった。



「っ、おい」



いきなりぐっと腕を引かれて、体制がよろける。足が絡まって、大志くんに抱き寄せられるカタチになった。


い、いきなりなに……⁉︎

こんな人通りも多いところで……。



「前見て歩け、ばか」

「へ……っ?」

「電柱にぶつかんだろーが」



ふと前を見てみると電柱が目と鼻の先にあり、驚く。


もしかして、助けてくれた……?


真剣な顔つきで私のことを見下ろす彼に視線が釘つけになる。でもそのことに気づいて、慌てて目をそらした。


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