俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
距離も近くて、心臓が弾けるように動きを加速していく。
「ご、ごめん……っ」
「ばーか」
顔が熱い。ううん、全身が熱い。変な汗がわき出てきているのがわかる。なんだこれ。まるで自分じゃないみたいだ。
なに意識しちゃってるんだ。相手は大志くんなのに。
大志くん……だから?
いや、違う。大志くんが無駄にイケメンだからだ。うん、きっとそうだ。無駄に顔が整っているから、私も無駄にドキドキしなきゃいけないんだ。
大志くんは嘘つきな悪魔。意地悪な人。
そう言い聞かせて、まばたきを繰り返す。
……ううん。それも違うな。
大志くん、優しかった。今日も、この前も。なにも言ってないのに、急に引き止めた私と一緒に帰ってくれている。
なのに優しくないわけ、ない。
優しくないと思っていた。なのに急に優しくするから……。
戸惑って、私の身体が、変になっちゃうんだ……。
バカなのは大志くんのほうだ。
──「お前は俺を好きになんな」
ならないよ。なるわけないじゃん。
優しくしないでよ。誤作動するのは、私なんだから。
「……どっか行くか?」
「へ?」
再び歩きだしていた大志くんに大人しくついて行っていると、となりにいた彼がそんなことを言い出した。
どっかって……?
「気味悪いんだよ、いつも能天気でヘラヘラしてるお前が暗い顔してると」
「う、うん……?」
あれ、もしかしていま私、ディスられてます……?