俺がこんなに好きなのは、お前だけ。
足早に歩きだした大志くんに置いて行かれないように慌ててついていく。
不機嫌なのか、そうじゃないのかは、もう私にはわからない。判断できない。
あの一瞬だけ感じた怒ったような鬼のオーラも、もしかしたら私の気のせいだったのかもしれない。
だって、私が佐藤くんとどこでなにをしようが大志くんには関係のないことだ。
現に大志くんだってそう言ったし、いま。
だけど……なんだかなぁ。
真っ直ぐに突き進んで行く大志くんの顔、よく見えないけどご機嫌に見えなくも、ないかも?
もう、ほんと、大志くんがわからないよ。
***
「わあ、すごい……」
少し歩いていった場所に、ひっそりと佇んでいたお店があった。店内に足を踏み入れると、扉が開くのに合わせて鈴の音が鳴った。
こじんまりとした店内のアンティークはどれも渋みがあるものが多く、金属でできたライオンのオブジェはすこし錆びていて、床には獣の皮のようなものが敷かれてある。
次々に目移りしながら案内された席に大志くんと向かい合わせで座った。
こんなお洒落というか、変わったお店ははじめてだ。
「なに飲む?」
「ええっと……じゃあ、カフェラテで……」
「ん。なにか食べるか?」
大志くんがメニューを開いて私の方に向けながら話す。私はメニューを見ながら時折その彼の長いまつ毛や薄いくちびるに目線を合わせていた。
と、いうか、勝手に目線がそちらにいってしまうのだ。私の意思に関係なく。私の身体なのに。