俺がこんなに好きなのは、お前だけ。


だけど放課後、憂鬱だなあ……。
となりのクラスに知り合いいないし。絶対アウェイに決まっている。


ただでさえ来週からテストってだけで憂鬱な気分なのに、その勉強時間まで気分が下がるのはちょっと……。


でも悪いのは断れなかった私だ。大丈夫。乗り切ろう。


そして席に戻るまでの道のりで、不意に大志くんと目があった。だけど私はそらした。何事もなく席に着く。頬杖をついて大志くんのほうを見ると、また多数のクラスメイトたちと談笑している様子。


昨日見た笑顔とは、やっぱりどこか違う。


昨日の顔の中心にぐっとチカラが入ったような笑顔じゃなくて、いまは物凄く……さらっとしている。爽やかで、目尻が下がっていて、悪い印象ではけしてないのだけど、どこかしっくりこない。やっぱりどこか偽りのような気がする。


こんなの変だよね。ついこの間まではこっちの笑顔しか見たことなかったのに。



「…………」



そこまで考えて、はっと我に返るように思考が停止した。


……違うな。私が望んでいるんだ。
昨日私が見た笑顔が、"本物の笑顔"なんだって。
そうだったらいいなって、私が勝手に思っているだけな気がしてきた。前にも偽ってるつもりはないって大志くん言ってたし。

もしかしたらいまみんなに見せているのが彼の本物かもしれないのに。


……って、なんでこんなこと考えてんだか。


深くため息を吐いて、目線を彼から窓の外の空に投げた。


流れる白い雲と、青い色、それから太陽。
小さい頃、太陽の絵を描くとき、赤色やシュウ色で描いていたけれど、今思うとなんだか違う気がする。


あれは、何色なんだろう……。


< 57 / 143 >

この作品をシェア

pagetop