俺がこんなに好きなのは、お前だけ。



話を振られて、一瞬考える。


べつにこの人たちと仲が悪いわけじゃない。むしろよく話す人たちだし、行きたい気持ちがないわけじゃない。


ただ……。



「…………」



すこし離れたところにいる大志くんのことを見た。下唇をすこしだけ噛んで、うつむく。


私も、好きな人と花火大会に行きたい、なんて。


誘う勇気もないし、行きたいだけで、絶対に一緒になんて行けない。
だって相手はあの大志くんだし。


誘ったって「あ?」とか、「なんで俺とお前が?」「バカじゃねぇの?」って、そんなこと言われたら私たぶん夏休み中メンタルが潰れて立ち直れないと思う。



「……私は、行こうかな」



ああ、もう……なんでこんなに意気地なしなんだろう。


好きになる前はあんなになにも考えずにズケズケと、なにごとにも物怖じすることなく言いたいことを言えていたのに。


嫌われたくないって、そう思うと、話しかけるだけですごく神経使っちゃう。



──「大嫌い!」



あんなことまで言っていたのに。
三ヶ月の自分にぜひとも教えてあげたい。あなた、三ヶ月後にはその人のこと好きになるよって。


こんな未来に自分がいることがわかっていたら、"大嫌い"だなんて言わなかったのに。撤回したけど。こんなこと、好きになることを知っていたら絶対に言わなかった。


ここ最近は大志くんとなにかと関わる機会が増えていたけれど、夏休みに入ったら会える理由がなくなっちゃう。


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