身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 患者にその目をさせたのは、他でない、私だった。

 なのにクレイグス医師も、屋敷の皆も、私を責めようとしない。

 接する皆が、優しかった。だけど私には、優しくされる価値なんてない。

 泣いて、泣いて、泣いて……。

 与えれた自室に閉じ籠って、泣きながら色々な事を考えた。

 私自身の事、家族の事、考え始めれば終わりなんてなかった。

 私は一体、何になりたかったのだろう? 何が、したかったのだろう?

  ……だって私は、日本でだって宙ぶらりんだった。

 医学部を目指していたけど、本気で医師になりたかったのかと聞かれれば、答えはノー。

 私がなりたかったのは、医師じゃない。

 私は、父や母のようになりたかった。

 皆から尊敬されて、頼られるお医者様。そんな両親みたいに、なりたかった。

 ……もっと言えば、私は凛としなやかな母みたいになりたかった。

 そして、強く優しい父のような男性と対等に肩を並べて歩む、そんな夢がみたかった。


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