身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
母は産婦人科医。
三年前に大きな病気をして惜しまれながら辞めたけれど、母はそれまでずっと大学病院で勤務していた。
母の勤める病院は、地域の周産期センターになっていた。母はそこのセンター長を務め、ハイリスクの産科手術となれば母の執刀に頼られた。
母と同じ病院で麻酔医をする父もまた、激務を熟していた。
両親共に忙しく、家族全員が揃う事はほとんどなかった。ごくまれに一家団欒していれば、必ずと言っていいほどポケベルの呼び出しがかかる。
「どっちー?」
「うーん、前回ママだったから、きっと今回はパパじゃない?」
子供たちも慣れた物で、父と母、どちらの呼び出しかと予測して、兄たちは軽口を言い合って笑っていた。
私もまた、団欒の終わりを悲しいとは思わなかった。
病院に駆けて行く両親の背中が、キラキラと眩しかった。
幼い私には、ただ、父と母が、誇りだった。