独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「なかなか数が増やせないのも本当なんです。レースづくりって、ものすごく時間がかかる作業だし。どこかの国のお姫様が結婚式をあげたときのベールは、職人千人が一年かかって作り上げたなんて話もあるくらい時間のかかるものもあるんですよ」
「——そうか」
不意にフィリーネを見ているアーベルの目が、優しくなったように見えた。居心地が悪くなって、フィリーネはもごもごと視線をそらす。
こんな風に、アーベルとの距離を詰めたかったわけじゃないのに。
(私、やっぱりどこかおかしいのかも)
いたたまれなくなって、テーブルに視線を落とした。
別に、アーベルのことが好きなわけじゃない——レースの販路獲得に協力してくれたから、ちょっと気になっているだけだ。
意図的に、自分の気持ちからは目をそらす。余計なことを考えたって、うまくいくはずないのはわかっている。
早く、この契約期間が終わればいいのに。契約期間が終わったら、アーベルはアーベルの生活に。フィリーネはフィリーネの生活に戻っていく。
「——ああ、そうだ。仕立屋のクラインから連絡があったぞ。お前に贈り物があるそうだ」
「贈り物って? だって、そんなのいただく理由ないですよ。レースの販売なら……お互い様ですから」
「——そうか」
不意にフィリーネを見ているアーベルの目が、優しくなったように見えた。居心地が悪くなって、フィリーネはもごもごと視線をそらす。
こんな風に、アーベルとの距離を詰めたかったわけじゃないのに。
(私、やっぱりどこかおかしいのかも)
いたたまれなくなって、テーブルに視線を落とした。
別に、アーベルのことが好きなわけじゃない——レースの販路獲得に協力してくれたから、ちょっと気になっているだけだ。
意図的に、自分の気持ちからは目をそらす。余計なことを考えたって、うまくいくはずないのはわかっている。
早く、この契約期間が終わればいいのに。契約期間が終わったら、アーベルはアーベルの生活に。フィリーネはフィリーネの生活に戻っていく。
「——ああ、そうだ。仕立屋のクラインから連絡があったぞ。お前に贈り物があるそうだ」
「贈り物って? だって、そんなのいただく理由ないですよ。レースの販売なら……お互い様ですから」