独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「アーベル様、この間はありがとうございました」
しかたがないので、可愛い話ではないけれど、アーベルに現状の報告をしておくことにした。彼なら、フィリーネの言いたいことをきっと理解してくれる。
アーベルにパウルスと決めた話をぽつぽつと説明した。当面は父からの手紙を王家承認の証にすること。それから、本国の職人に、偽物を作るのが大変な札を頼もうとしていること。
「あのレース、母上も気に入ってるらしいぞ」
「本当ですか?」
まさか、王妃陛下が気に入ってくれるとは思ってもいなかった。
「とくに、あのイリスのレースが気に入ったそうだ。花嫁のベールに使うには、あれがいいだろう、と」
「そうなんですそうなんですよ! 特に日の光を浴びた時に七色の光が綺麗に出るから! もー、あの染色だってすごい大変なんですよ! アーベル様の結婚式なら、都の大聖堂ですもんね。きっとベールがキラキラ輝いて素敵です!」
「あ、ああ——そう、そう、だな……」
フィリーネが身を乗り出して、口早に説明したら、アーベルはなぜかちょっぴり遠い目になった。それに気づかないフィリーネは、ますます彼の方に身を乗り出した。
しかたがないので、可愛い話ではないけれど、アーベルに現状の報告をしておくことにした。彼なら、フィリーネの言いたいことをきっと理解してくれる。
アーベルにパウルスと決めた話をぽつぽつと説明した。当面は父からの手紙を王家承認の証にすること。それから、本国の職人に、偽物を作るのが大変な札を頼もうとしていること。
「あのレース、母上も気に入ってるらしいぞ」
「本当ですか?」
まさか、王妃陛下が気に入ってくれるとは思ってもいなかった。
「とくに、あのイリスのレースが気に入ったそうだ。花嫁のベールに使うには、あれがいいだろう、と」
「そうなんですそうなんですよ! 特に日の光を浴びた時に七色の光が綺麗に出るから! もー、あの染色だってすごい大変なんですよ! アーベル様の結婚式なら、都の大聖堂ですもんね。きっとベールがキラキラ輝いて素敵です!」
「あ、ああ——そう、そう、だな……」
フィリーネが身を乗り出して、口早に説明したら、アーベルはなぜかちょっぴり遠い目になった。それに気づかないフィリーネは、ますます彼の方に身を乗り出した。