独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「問題は、そこじゃないだろう——」

 ほら、アーベルとはもう普通に話すことができている。心配なんてする必要はないのだ。
 だが、そこにふっと入り込んできたのは、ライラだった。

「ご一緒しても、よろしいかしら?」
「今、フィリーネと大切な話をしているところなんだ」

 アーベルは、ライラを追い払おうとした。だが、フィリーネは開いている椅子をライラに勧めた。

「最近、街中で流行ってるレース、ライラ様のお国の品なんですって? 私も、ほら、買ったんですよ!」

 レースのハンカチは、先日アーベルと一緒に出掛けた時に買ったものだ。これだけの見事な品を、これだけ安価に売ることができるというのは素晴らしい。

 けれど、ライラはフィリーネの誉め言葉が気に入らなかったみたいだった。

「あなたから見たら、安物でしょう?」
「たしかに、お安かったけれど、これだけの見事な品をこんなに安価に提供するなんて——今、素晴らしいってアーベル様ともお話してたとこなんです」

 これは、フィリーネの本音だった。だが、ライラが手にしている扇は、雪の乙女、シエルのレースがあしらわれたものだった。
< 221 / 267 >

この作品をシェア

pagetop