独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
 フィリーネも同じことを言っていたのに、アーベルの言葉となると受け止めやすいらしい。わかりやくライラは頬を染めた。

「そろそろ俺は戻らないといけないんだった。フィリーネ、お前はどうする?」
「部屋に戻ります。ええと、ヘンリッカとやりたいことがあるので」

 実際のところ、パウルスに相手をしてもらうことになるのだろうけれど、アーベルの前でパウルスの名前を出すのはまずいらしいとようやく悟った。

「部屋まで送る」
「大丈夫ですよ、迷子になったりしません」

 すっかりいつもの調子を取り戻したアーベルとフィリーネが立ち去るのを、ライラがじっと見ていることなんて、フィリーネは気づいていなかった。
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