独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
◇ ◇ ◇
アーベルが母から呼び出されたのは、フィリーネと街中に出かけて数日後のことだった。
「あなた、ユリスタロ王国のフィリーネ王女と親しいんですって?」
「いけませんか、母上。彼女、なかなか面白い人材ですよ」
フィリーネを『お気に入り』としてあちこち連れ歩いているから、母としては気が気ではないのだろう。母はライラを押したがっている。だが、父ともいろいろ話をして、ライラは危険ではないかと警戒しているところだ。
「そうそう。これはユリスタロ王国の特産品——というか、これから特産品にしようとしているレースらしいです。母上のドレスに飾ってみてはいかがですか」
「あら、まあ……」
母も美しいものには目がない。アーベルの差し出した三枚のレースにうっとりとした目を向けた。こういうもので母を釣るのも時には大事だというのを、アーベルは完全に悟っていた。
「本当に、美しい品。でも、あなたまさかこのレース目当てに、彼女と一緒にいるわけではないでしょう?」
「彼女の考え方は、面白いですね。俺よりずっと民に近いところで生活してきた分、地に足がついた考え方をするというか——物事を考える時の視点が、民に近いというか。それは、俺が持っていない視点だと思います」
アーベルが母から呼び出されたのは、フィリーネと街中に出かけて数日後のことだった。
「あなた、ユリスタロ王国のフィリーネ王女と親しいんですって?」
「いけませんか、母上。彼女、なかなか面白い人材ですよ」
フィリーネを『お気に入り』としてあちこち連れ歩いているから、母としては気が気ではないのだろう。母はライラを押したがっている。だが、父ともいろいろ話をして、ライラは危険ではないかと警戒しているところだ。
「そうそう。これはユリスタロ王国の特産品——というか、これから特産品にしようとしているレースらしいです。母上のドレスに飾ってみてはいかがですか」
「あら、まあ……」
母も美しいものには目がない。アーベルの差し出した三枚のレースにうっとりとした目を向けた。こういうもので母を釣るのも時には大事だというのを、アーベルは完全に悟っていた。
「本当に、美しい品。でも、あなたまさかこのレース目当てに、彼女と一緒にいるわけではないでしょう?」
「彼女の考え方は、面白いですね。俺よりずっと民に近いところで生活してきた分、地に足がついた考え方をするというか——物事を考える時の視点が、民に近いというか。それは、俺が持っていない視点だと思います」