艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
そういえば、男の人に合鍵をもらうのも初めてで、私はこうして、いろんな初めてを葛城さんと経験していくのかと思うと、気恥ずかしいようなこそばゆいような感覚に襲われる。
だけど決して、嫌じゃない、そう思えることにほっとした。
そんな私の様子を、彼ももしかしたら、うかがっていたのかもしれない。
「あ。コーヒーでも淹れましょうか」
と、ソファから立ち上がった私の手首を、葛城さんがやんわりと掴んで引き留めた。
「葛城さん?」
「コーヒーはいいよ。それより」
ゆっくりと、私を驚かせないようにしてくれているのがわかる。私を引き寄せ、ソファに座る彼の足の間に立たされた。
「少しだけ、距離を詰めても構わない?」