艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
重なる唇の、甘さに酔う。


柔らかさを確かめるように唇を啄んだあと、彼は一度キスを止め片腕でしっかりと私の肩を抱え込む。
右側に体を倒すよう体重移動を促しながら、彼の身体が私を覆う。


ごと、と音がした。
瓶をテーブルに置いた音だ。


再びくすぐるように互いの唇を触れ合わせる。
ソフトだが、肩を抱く手は強くてがっしりとして。
明らかな、力と体格の差を感じさせられた。


心臓が、痛いくらいに早鐘を打つ。
彼のもう片方の手が、私の両足の膝を引き寄せ気付けば膝の上で横抱きにされていた。


ちゅ。と下唇を挟まれた後。


「舌、出して」


どうして舌なんか、と思いながらもう、素直に従うしかできない。
それほどに思考回路を奪われた私は、唇の間から少しだけ舌を覗かせた。

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