艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
あれからまた、数週間。
あの勢いのままでなくて良かった、と少し落ち着いてからはそう思えた。


やはり、焦りに追い立てられて無暗に飛び込むことではない。
だけど……あの日から、そこはかとなく、葛城さんが素っ気ない気がする。


「あ、すごい。口の中で溶けるね」


食後、ソファに座ってデザートを食べるこの時間が、一番ふたりでゆっくりと過ごせる時間だ。


「ね。仕上がり完璧でしょう」


褒められて嬉しくなってそう言うと、彼はフォークを持った手で口元を隠し笑いを堪える。


「……また笑う」

「いや、だって。本当、上手く出来たときは嬉しそうな顔するね、と思って」


上手く出来たからじゃないですよ。
葛城さんに、褒めてもらえるからです。

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