艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「……はい。明日、朝ご飯とお掃除します」
「あんまり無理しなくていいよ。君が居てくれるならハウスキーパーを頼んでもいいんだけど」
「いえいえなんで? 私がいるのになんでハウスキーパーが要るんですか」
「今まで頼まなかったのは、留守中に人に入られるのも嫌だし帰ってから誰かがいるのも億劫だったからなんだよ。君が居るならその間に来てもらうのもありかと思って」
「私の仕事取らないでください。ほんとにすることがなくなっちゃう」
こんな風に、甘い空気をすぐに彼が散らしてしまう。
どうしてだろう。私とキスするのが嫌になった?
やはり、女としては魅力が足りない?
自信なんてないから余計に言葉にはしにくくて、ただやはり離れがたくてつい彼のワイシャツの袖を握った。
だって、この流れならもうすぐ彼は、お風呂を済ませてそのまま寝室に入ってしまう。
もう少しだけ、せめてこうしていたい。