艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「そ、それより、私ちゃんと、聞きたくて」
「……何を?」
「……守ってくれたんですか、花月庵を」
「守るよ。言ったはずだけど、可愛い妻の大切なものなら守るって」
「それは、聞いたんですけど、あの……」
可愛い奥さんでいたら、約束は守ってくれる、そういう意味でしょう?
でも、私の聞きたいことはそういうことじゃなくて。
自分の足元を見つめたまま言葉を探していると、彼の足が目に入った。顔を上げると、すぐ間近に葛城さんが居て、思わず一歩後ずさる。
だけど、かるく片腕を横にひかれてトン、と背中がドアの真横の壁に当たる。通せんぼするみたいに、彼の手が私の背後の壁に置かれた。
彼の表情は、久々に見るものだった。少し意地悪で、ちょっと怖くて、妖艶な微笑。
「あ……の……」
「なに?」
なんでもないことのように、彼は話の続きを促す。