艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~


「そ、それより、私ちゃんと、聞きたくて」

「……何を?」

「……守ってくれたんですか、花月庵を」

「守るよ。言ったはずだけど、可愛い妻の大切なものなら守るって」

「それは、聞いたんですけど、あの……」


可愛い奥さんでいたら、約束は守ってくれる、そういう意味でしょう?
でも、私の聞きたいことはそういうことじゃなくて。


自分の足元を見つめたまま言葉を探していると、彼の足が目に入った。顔を上げると、すぐ間近に葛城さんが居て、思わず一歩後ずさる。


だけど、かるく片腕を横にひかれてトン、と背中がドアの真横の壁に当たる。通せんぼするみたいに、彼の手が私の背後の壁に置かれた。


彼の表情は、久々に見るものだった。少し意地悪で、ちょっと怖くて、妖艶な微笑。


「あ……の……」

「なに?」


なんでもないことのように、彼は話の続きを促す。


< 198 / 417 >

この作品をシェア

pagetop