艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
首筋から耳へ、舌が薄い肌を這う。そこから身体の中に熱を吹き込まれているようで、頭の芯がぼんやりとしてくる。


耳の縁を辿られ、耳朶のピアスを弄られ、その度身体が反応してしまう。けれど、浮いた足の爪先が床を掻くばかりで、どうにもならない。


されるがままに、彼の腕の中で力が抜けていく。


……どうして、こんなことになったんだった?


頭の中が混乱する。


……話をしたくて、追いかけてきた。ほんとのことが知りたくて。


耳の中に熱い吐息が吹き込まれ、肩を竦める。懸命に閉じた唇から、微かに漏れてしまう声が聞こえませんようにと祈っているのに。

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