艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

耳朶の下の肌を、彼の唇に音がするほどに強く吸いつかれ。


「んっ……や、あっ」


堪えきれなくなり、ぐったりと彼の肩にしなだれかかる。少し、痛いほどだった。
その後を彼は軽く舌で舐め、大きな手で私の後頭部を撫でて宥める。


彼が腰を屈めてくれて、やっと、足が地に着いたけれど。


「自分で立てる?」


壁に凭れるように立たされ、ぼんやりと虚ろな視界の中で、彼の大きな手が私の胸元で動いているのがわかった。


「え……あ、……」


彼は躊躇いなく、私のブラウスのボタンを外していて、私の方は逆に混乱し過ぎて上手く言葉も出ない。


これは、このまま?
そういう流れなの?
どうするのがいいの?
怖い、嫌じゃない、恥ずかしい、でも嬉しい。
このままでいいの? でも、夫婦になるんだよ、間違ってない。


言葉がぐちゃぐちゃに頭の中で交わっている。

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